衛生唱歌二段

それでは二段
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人万物(ひとばんぶつ)の 霊として
忠孝二道を ふまんには
幼きときより 心して
左(さ)の法則を 守るべし
よるは八時に ねまに入り
朝は七時に とこをいで
よく口すすぎ 眼を洗ひ
顔を拭ひて 髪をとけ
食は必ず よくかみて
静(しずか)に 咽(のど)に のみ下(く)だせ
湯漬茶漬を 食すれば
消化を損ふ ものと知れ
余りに熱き 湯茶のむな
氷の如きも 亦わろし
熱したる身に 水飲めば
風ひくことの あるぞかし
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歌なのに「左の法則」と来た。やはり三島は音楽の専門ではないと見える。しかし、健康的な生活習慣も「忠孝二道」を踏むためのこと。教育勅語はそうでなくてはならないのだ。まあ、生活習慣だけに関しては「いいことが書いてある」のだ。子どもたち、早く寝なさい。
posted by 新谷恭明 at 15:36| Comment(0) | 研究ノート | 更新情報をチェックする

衛生唱歌

 国立国会図書館のデジタルアーカイブというのは便利だ。地方にいて古い文献を楽しめる。
 今、養護教諭について調べているのだが、学校衛生の魁である三島通良が作った『衛生唱歌』なる小品を見つけた。形は明治33年に出版されたパンフレットである。その「緒言」によれば「近年各種優美の唱歌流行し、ために児童等が卑猥の俗謡を歌ふこと、其跡を絶つに至りしは、悦ぶべき現象なりと信ず」ということで、鉄道唱歌に始まる唱歌ブームが子どもたちを「卑猥な俗謡」から護ったことに於いて意味があったという。「ならば・・・」というので三島は「衛生唱歌」を作ったということになる。
 そして三島は「衛生歌は、固より一時の愉快を感ずるを以て、目的とするものにあらず、毎日怠らず之を歌ふときは、児童をして、自然衛生の道を実行するに到らしめ、併せて其徳性を涵養するに足らん」と「衛生歌なんてものが面白いはずはないが、毎日歌っていれば衛生の道を実行し、ついでに徳性も高まるというものだ」と自負している。
 歌は全部で五段。つまり、5番まであるということだ。そうそう作曲は鈴木米次郎(東洋音楽学校、現在の東京音楽大学の創設者)という大物である。
 まずは一段から
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あやにかしこき 天皇(すめらぎ)は
教育勅語を 臣民に
くだし給ひて のたまはく
皆克く忠に 克く孝に
ああこの忠義 孝行は
わが日本(ひのもと)の 精華なり
身体髪膚を 父母にうけ
毀傷せざるを 孝と云ひ
心身みながら 天皇(すめらぎ)に
捧げまつるを 忠と云ふ
その身体も 精神も
健康ならずば 強からじ
忠忠孝孝 忠孝と
のきにさへづる 小雀(こすずめ)も
森になきたつ 小烏(こがらす)も
羽ぶし強きは 声高し
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 なんということだ。まずは健康・衛生は教育勅語の通りとうたいあげている。そして心身すべてを天皇に捧げるのが忠孝であり、教育勅語の精神なのだと言うのだ。
 教育勅語は当時はそのように読まれていた。どこぞのアホ大臣が道義国家などと怪しげな訳にたよって誤読しているのとは異なる。
posted by 新谷恭明 at 14:57| Comment(0) | 研究ノート | 更新情報をチェックする